井上こどもクリニックを受診されたお子様とご家族の皆様へ 

指先からの毛細管採血検査の方針と得られた結果の研究活用についての説明 

指先からの採血(毛細管採血検査)は、腕などからとる静脈血採血より痛みが少なく短時間に採血が行え、数分後には炎症反応の目安となる白血球数やCRPの結果を得ることができる利点から全国に普及しています。当院では、開院以来、主に発熱したお子様を中心に不要な抗菌薬投与を避けること、および重症感染症や川崎病などを見逃さないことを目的に、ご家族の皆様の了解を得たうえで毛細管採血検査を積極的に行ってきました。
しかし、毛細管採血検査の精度や解釈、活用法などについてはわからないことが多いのが現状です。例えば、白血球数やCRPがどの程度静脈血採血で得られた結果と一致するのかについてもよくわかっていません。毛細管採血検査を行うと、白血球数やCRP以外に、ヘモグロビン値(Hb, 貧血の目安となります)や血小板数、赤血球の大きさや赤血球の大きさのばらつきなどの値も知ることができます。ご本人の診療に直接関係しない場合には各々の結果を説明することはありませんが、それらの意義についても定まったものはありません。
診療情報と毛細管採血検査結果について検討を重ね知見を得ることができれば、井上こどもクリニックだけではなく他の医療施設でも、今まで以上に毛細管採血検査を行う意義が高まると考えております。2020年3月現在取り組んでいる研究の概要を以下に記載します。

突発性発疹熱性けいれん合併例における平均赤血球容積の検討

井上こどもクリニックは下記の研究を実施するため当院の診療情報と毛細管採血検査結果に関する既存情報を匿名化し、学会や学術雑誌に研究報告を行う予定です。以下に研究の概要を公開いたします。本研究は、突発性発疹に合併する熱性けいれんの病態解明を目的として実施するものです。何卒ご理解いただきますよう宜しくお願い申し上げます。

1. 研究課題

突発性発疹熱性けいれん合併例における平均赤血球容積の検討

2. 研究の目的

突発性発疹は2~5日間の発熱の後、全身に発疹が出現する乳幼児で比較的よく見られる感染症です。熱性けいれんは、38℃以上の発熱にともなう発作性疾患で、突発性発疹の発熱期に熱性けいれんを合併する頻度は10%程度です。熱性けいれんを起こしやすい危険因子として家族歴がよく知られています。
近年、鉄欠乏症があると熱性けいれんをおこしやすいと報告されています。しかし、鉄欠乏症と突発性発疹に合併する熱性けいれんの関連について検討した研究はありません。
当院では、発熱して来院されたお子様を中心に、ご家族の皆様の了解を得たうえで毛細管採血検査を行い、炎症反応の目安となる白血球やCRPの結果を得ることにより診療方針を決めてきました。毛細管採血検査を行うと、ヘモグロビン値や赤血球の大きさ(平均赤血球容積:MCV、鉄欠乏症があるとMCVは小さくなります)などの情報も得られるため、結果として突発性発疹の発熱期に毛細管採血をしたお子様においても、それらの検査結果が蓄積されています。
本研究は、当院で突発性発疹と診断したお子様の既存情報を用いて熱性けいれん合併の有無によりMCVに差が出るか検討することを目的としています。

3. 研究の対象

2015 年1月から 2019年11月の間に当院で発熱の精査を目的に毛細管採血を行い、その後突発性発疹と診断した4歳以下の乳幼児を研究対象とします。

4. 研究の方法

毛細管採血では鉄欠乏症を確定する直接的な情報は得られませんが、前述したとおり鉄欠乏症があると赤血球の大きさをあらわす平均赤血球容積(MCV)が小さくなるため、熱性けいれんの有無によってMCVに差がでるかを検討します。
その検討には、突発性発疹にかかったお子様の背景を示す必要があるため、電子カルテ内から診療情報(診断、性別、体重、体温、家族歴(家族の病気)、出生時体重、在胎週数、既往歴(過去にかかった病気)、診察所見、毛細血管採血検査結果)を集計し、個人情報を削除した匿名化データを作成します。
検討により知見が得られれば、その結果を学術雑誌や学会などで公表します。しかしながら、その際、個人を特定できる情報は一切公表されません。

5. 研究結果を利用するものの範囲および診療情報の管理についての責任

研究結果の利用は井上こどもクリニック院長(井上佳也)およびその共同研究者に限ります。診療情報の管理についての責任は井上佳也が負います。

6. 予定研究期間

日本外来小児科学会倫理委員会承認日から2021年3月31日までを予定しています。

7. お問い合わせ先

本研究について同意いただけない場合は、お子様またはその保護者など代理人の求めに応じてお子様の診療情報や検査結果の利用を停止することができます。お手数ですが、不同意確認書に署名し、受付にご提出をお願いします。不同意確認書を提出されても、お子様の診療に何ら影響することはなく、診療上の不利益をこうむることはありません(ただし、分析による統計データがすでに公表されている場合等、除外に応じられないことがあります。)。不同意確認書の提出がない場合は、同意いただいたものとさせていただきます。小さいお子様の受診が中心のため、保護者の方にご判断いただいておりますが、のちにご自身で判断できる年齢になり、ご本人からのお申し出がありましたらその意思を尊重させていただきます。不同意確認書は、外来受付近くに常備しております。また、ホームページ「不同意確認書 PDF版」からもダウンロードできます。ご不明な点がありましたら当院まで(048-580-6022)までお問い合わせください。  

井上こどもクリニック院長 井上 佳也

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